
Webサイトの改善を行うためには、ユーザーの行動を分析し、課題や問題点を明らかにしていく必要があります。
通常はGA4などの定量データによる分析が中心になりがちですが、ユーザーテストやヒートマップなどの定性データも取得することで、より深い分析が可能になります。
ユーザーテストやヒートマップツールにはコストや時間がかかるように思われがちですが、Microsoft社の「Clarity」を使うと無料で簡単に、簡易的な定性データを収集することができます。
そこで今回は、GA4による定量データとClarityによる定性データを併用してユーザーの行動を分析し、Webサイトの改善をつなげていくためのステップを簡単にご紹介していきたいと思います。
GA4とClarityの役割
GA4でわかること(定量データ)
- ユーザー属性やトラフィックソースごとのアクセス状況、エンゲージメントやコンバージョンなど
- イベントトラッキングによるボタン・リンククリックや、フォーム遷移などのアクション
- ページごとのアクセス状況、エンゲージメントや滞在時間など
Clarityでわかること(定性データ)
- スクロールマップ でページのスクロール状況を可視化
- クリックマップ でボタン・リンクなどのクリック状況を可視化
- レコーディング の動画でユーザーの実際の行動を確認(簡易ユーザーテストとしても使用可能)
- アテンション(注意)マップ でユーザーが注視、または迷っている箇所を発見
- ダッシュボード画面 でデッドクリック(間違えてクリックした割合)やクイックバック(ユーザーがすぐにページから離脱した割合)などの状況も確認
GA4による定量データとClarityによる定性データを組み合わせることで、お互いのデータの裏づけや深掘りができ、分析精度の向上や、サイト改善のヒント発見につながります。
ただし分析者本人も、最低でも一度は、ユーザーとして実際にサイトを使用し、人間の目と感覚で、データに現れた傾向について検証してみることをおすすめします。
もし異性向けや異世代向けのサービスの場合は、家族・同僚・友人などの協力を得るといいでしょう。(メシを奢らされるかもしれませんがw)
GA4とClarityを活用した分析プロセス例
ステップ1:GA4による現状確認と課題の抽出
- ユーザー属性(性別・地域・年齢など)ごとのエンゲージメント率、平均滞在時間やCV率など
- 流入元別ごとのエンゲージメント率、平均滞在時間やCV率など
- ページごとの表示回数、エンゲージメント率、平均滞在時間やCTA発生率などを
- データ探索レポートのセグメント機能を使って、独自の視点でセグメントしたユーザーの行動分析
ステップ2:GA4で得た課題を、Clarityによる定性データで深掘り
- クリックマップ分析:ページのどの場所がよくクリックされているかを分析し、ボタンのデザインや設置場所の改善などに活用できる
- レコーディング分析:ユーザー1人1人がどこを注視し、どこで迷い、どこで離脱しているのか動画で確認でき、ユーザー分析の裏づけデータとして活用できる
- スクロールマップ分析:ページの読了率を調べることができ、CTAボタン設置位置の検討や、ページ構成の見直しなどに活用できる
- アテンションマップ分析:ユーザーが注視している、または迷っている箇所を発見することができ、UIやページ構成、CTAボタンの配置位置などの改善に活用できる
上記以外にも、ダッシュボード画面に表示されている、デッドクリックやクイックバックなどの指標もユーザーの行動やWebサイトの問題点を分析する上で役立ちます。
ステップ3:改善策の実施と効果検証
- ClarityやGA4などで発見・深掘りした課題をもとに、サイトのUIや構成、デザインなどを改善箇所を決定する
- A/Bテストによる、改修パーツごとの検証と改善を繰り返しおこなう
- サイトの改修後は、必ずGA4・Cralityによる効果検証をおこなう
- 分析者本人も実際にユーザーとしてサイトを使用し、改善による利便性の変化などを検証する
GA4 × Clarityの活用ポイント
- GA4で数値的な課題を明らかにする(ユーザー属性別・流入チャネル別・ページ別・セグメント別など)
- Clarityの定性データを使って、GA4で得られた課題の検証・深掘りをする(クリックマップ・レコーディング・アテンションマップ・スクロールマップなど)
- 分析結果をもとに施策を立案し、A/Bテストなども活用しながら、サイト改善案を固めていく
- サイト改善後の効果や利便性の変化などをGA4とClarityで検証する
- 分析時や効果検証時は、必ず分析者本人がユーザーとして実際にサイトを使い、人間の目にと感覚によるチェックを必ずおこなうこと
GA4とClarityを組み合わせることで、定量データと定性データをバランスよく活用し、より精度の高い分析が可能になります。
現時点では、どちらのツールも無料で使用できますので、ぜひ挑戦してみてください。
また、GA4とClarityのAPIを使用することで、GA4のデータにClarity独自の指標(デッドクリックやクイックバックなど)を統合した分析も可能になりました。
今後のWeb分析・改善への、ますますの活用が期待されます。